箱館山スキー場

索道について

 



滋賀県高島市の箱館山スキー場は、琵琶湖の展望に優れたスキー場で、天然雪のバーンに加えてICS(造雪機)ゲレンデを設置することにより、関西ではいち早くシーズンインし、ロングシーズンが楽しめます。

箱館山(標高:690m)には戦前からスキー場がありましたが、1962年(昭和37年)に地元私鉄の近江鉄道株式会社(西武グループ)によって近代スキー場としての開発がおこなわれてました。

以降、四季を通してのレジャーゾーンとして1974年(昭和49年)に「湖西八景」のひとつに、翌75年には当時の観光地のステータスでもあった「国鉄周遊指定地」にも指定されています。
    
現在の「箱館山ゴンドラ」は、スキー場ではおなじみの自動循環式の所謂「ゴンドラリフト」ですが、この旧線にあたる「箱館山ロープウェイ」という交走式の索道が1999年(平成11年)まで、現在線の西側を運行していました。
山麓駅(箱館山登山口駅)を発車する旧線。−近江鉄道(近江開発)案内

現在線の路線は、この旧線の路線に並行するかたちで架けられています。

箱館山ロープウェイは、スキー場と同じ1962年の開業。シーズン以外も登山・行楽の足として通年で営業していましたが、施設が老朽化したことや、輸送力の増強が求められていたことなどから、1999年12月に現在線への更新がおこなわれ、延長が約400m拡張され、毎時(往復)/920人だった輸送能力も/2400人へと拡大されました。

旧線は開業から廃止まで諸元の変更はありませんでしたが、1972年と1987年に搬器の交換をおこなっており、寒色を基調としたカラーリングの初代搬器(ページトップの写真)から、暖色系の二代目へ(下の写真)、さらに西武のレオカラーの三代目へと更新されています。


二代目搬器(1972〜1987)−箱館山ロープウェイ15周年記念乗車券

【訪問記】 2009年8月

ここは比良ロープウェイの廃線跡探訪の翌日に訪れました。比良のレポ中にも書いた通り、滋賀県には、岐阜県との県境にまたがる伊吹山地から琵琶湖の湖北・湖西にかけて、大小のスキー場が点在しています。

近年、夏季の事業の許認可を取得しているスキー場では、ゲレンデ内にゆり・ラベンダーなどを植えて「お花畑」として営業するところが増えてきましたが、2007年から経営母体が替わった*注1箱館山スキー場も2009年から夏季は「びわこ箱館山ゆり園」として営業。

200万輪のゆりが咲くと言われるその規模は、関西最大だそうです。


箱館山ゴンドラ(1999〜)。中央に見えるのが旧線の山麓駅舎

私たちが訪問した日は、ゆり園2009の閉園の前日で、残念ながらゆりの花は殆ど残っていないとのことで、入園料(ゴンドラの運賃)は半額でした。

現在線のゴンドラが山麓駅を発車するとすぐに、西側に旧線の山麓駅(箱館山登山口駅)が見えました。旧駅舎は現在は一般客が立ち入れない場所にあるため、ゴンドラからの遠望となりましたが、建物の近くに何台か車が停まっていたので、他の用途に再利用されているようです。

一方、旧線の山頂駅(見晴台駅)の建物は完全に撤去されていましたが、センターハウス近くに1999年まで運行していた三代目搬器が置かれていました。


三代目搬器(1987-1999)
現在は倉庫として使用されているようで、状態は比較的良いようでした。

グリーンシーズンの箱館山は、フリーライドMTBなどのエクストリームスポーツのメッカとしても知られています。

こうした新しいアイデアや合理化によって、旧来のスキー場から、よりカジュアルなオールシーズン型のマウンテンリゾートへのシフトをすすめるスキー場が増え、再びスノーレジャーシーンが盛り上がることを期待したいです。


名称 箱館山ロープウェイ
事業者 近江鉄道
所在地 滋賀県高島市
山頂駅名称 見晴台
山麓駅名称 箱館山登山口
開業 1967年10月1日
廃止(Replace) 1999年12月 
索道の方式 3線交走式
水平長 852m
傾斜長 939m
高低差 398.68m
支索の最急勾配 35.10°
支柱(基) 1
搬器の種類・数 箱型 2
搬器の名称 箱館号/今津号
最大乗車人数 46人
施工 安全索道*注2

*注1
2007年からJMG傘下となった。

*注2 
現在線の「箱館山ゴンドラ」は日本ケーブル鰍フ施工。


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