あわしまロープウェイ(2002年撮影) 伊豆半島の基部に位置し、内陸側に富士山・海側に駿河湾を望む西伊豆の風光明媚な街、静岡県沼津市。 あわしまマリンパークは沼津市の内浦地区に浮かぶ小島「淡島」の島内にある、水族館を中心としたレジャー島。 同施設は1964年(昭和39年)に淡島海洋公園として開業。淡島ロープウェイ(淡島海上ロープウェイ)は海洋公園の開業と同時に運行を開始した交走式の索道で、湾側の重寺(しげでら)駅と島側の淡島駅間の約330mを海上で結んでいました。 レジャーブームだった当時、全国の観光地で多数架設された「空中散歩」を目的とした観光ロープウェイとは違い、この索道の場合は島へのアクセス手段という明確な役目を担っていました。 開業時のゴンドラは大名籠を模したユニークなデザインで、運行時の様子は1960年代モノクロTVドラマのHDリマスター&カラーライズBlu-ray 総天然色ウルトラQ 1 で観ることができます。 淡島海洋公園は1984年に「あわしまマリンパーク」と改称。改称に合わせ索道も平仮名表記の「あわしまロープウェイ」となり搬器もページトップのものに更新され、以降あわしまマリンパークのシンボル的な存在として来島者の輸送に活躍しました。 遊戯物に近い路線を含めても国内では6か所しか架設されなかった「海上ロープウェイ」の中で最後まで頑張っていたあわしまロープウェイですが、設備の老朽化で2008年8月に運行を停止。 索道設備は運行停止後も10年近くそのままの状態でしたが、2017年9月の休園日に設備撤去に向けての搬器の移動/取外しのために1度だけ動かし、撤去作業に入りました。 |
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【訪問記】 2002年8月編 伊豆・下田方面は車だと早起きすれば地元の横浜から日帰り可能なので、免許取りたての大学時代から夏になるとよく出かけています。 2002年の訪問についてはさすがに記憶が曖昧で、写真もデジカメを忘れて現地で買った使い捨てカメラで撮ったものなので画質が悪いんですが、何故あわしまマリンパークへ行ったのかはハッキリと覚えています。 当日の入園券(兼乗車券) その夏も日帰りで伊豆大島へ行こうということになり、まだ夜が明けないうちに出発したところ、西湘バイパスの石橋IC付近が大渋滞。ようやく熱海港の大島行き高速双胴船シーガル2(2005年運航終了)のりばの駐車場に着くと、乗るはずだったシーガル2が今まさに離岸してゆくところ。 早朝の熱海港ではする事も無く、伊豆の有名観光地は既に行き尽くしていたので、車のナビで周辺の「まだ行ったことのない観光スポット」を探し、見つけたのが沼津のあわしまマリンパークでした。 2002年のパンフレット 画像をクリックで大きな画像に(戻る時はブラウザのバックボタンで)。 初めて訪れたあわしまマリンパークは、昔ながらの水族館を中心としたネイチャー指向のレジャー島という印象でした。島内では定番のイルカ・アシカ等のショーや宝さがしイベントの他に、海沿いの遊歩道や島内の山道を歩くハイキングコースなどがあって、楽しい夏の一日を過ごせた記憶があります。 展望タワーとロープウェイ発着所を結ぶ連絡橋から(2002年撮影) 島へのアクセスはロープウェイか渡船の2択だった気がするんですが、その時のパンフレットを確認すると渡船のことが書いてないので記憶違い?ちなみにマリンパークの犬とのふれあいイベントは夏なのでお休みだった、という記憶は合ってましたw その後ここを訪れたことは無く、2008年の秋頃に索道が運行停止となったことを知りました。 それからずいぶん時が経った一昨年(2018年)、索道設備の撤去作業が開始されていることを知り(情報提供:西伊豆・松田様)、16年ぶりに再訪してみることにしました。 【2018年9月編】 あわしまマリンパークに到着すると、どうも2002年の訪問時と様子が違う・・・。 駐車場にはラッピングカー(痛車)が停まっており、前回の訪問時の利用客はほぼ家族連れやカップル・男女グループだったのに対し、今回はそれに男子だけのグループや男子おひとり様も加わっていて客数自体は16年前より増えている感じ。 どーしてこんなことに・・・ チケット売り場のあたりはこんな感じでアニメのキャラクターの幟がお出迎え。さらに渡船や客待ちのタクシー、お昼に海上レストランで食べた鉄火丼の海苔にまでアニメのキャラクターが。 渡船のラッピングは写真の側面だけでなくルーフやデッキ付近にもまんべんなく施されていて、まさに痛船。 どうもこの周辺を舞台とした人気アニメがあり、「聖地巡礼」で訪れるファンが多いというのが理由のようです。 今や2兆円産業といわれる日本のアニメ。ご当地作品のヒットで、ようやく索道施設の撤去に着手できるようになった、ということなのかも知れませんね。 |
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では本題に移り、まずは2018年の重寺駅の様子から。この時点で既に索条や搬器は撤去されていましたが、駅舎の建物は一部が島内にあるホテルの待合所として使用されているので現役。 旧・重寺駅舎 なお、前述のBlu-rayで1965年当時の駅舎を見ることができます。細部はかなり変わったようですが、建物自体は同じものみたいですね。 次は淡島駅の様子。2002年の訪問時には水族館の横にエレベーターで上がる展望タワーがあり、その上部から連絡橋(スカイブリッジ)を渡ってロープウェイ発着所へアプローチしたと思いますが、タワーと連絡橋は既に消滅。淡島駅舎はまだありましたが、山から駅舎へのアクセス道は立ち入り禁止になっていました。 旧・淡島駅舎(上の建物)と淡島水族館(下の建物) |
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水族館は16年前とほとんど変わっていなくて、相変わらずの古風で真面目な水族館。ブレていません。 水族館ではいろいろ工夫された展示やイベントをやっていて、この時はウミガメを抱っこできるバックヤードツアーがあり、さっそく我々も参加。もちろんウミガメを抱っこするのは初めて。 このツアー今もやっているのか分からないですが、とても良かったのでおススメですね。 可愛いウミガメ |
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資料や時期により呼称は 淡島ロープウェイ・淡島海上ロープウェイ・あわしまロープウェイ・あわしま海上ロープウェイ と様々。
*注2
国交省鉄道局監修の「鉄道要覧」では平成21年度(2009年)より普通索道部門から同ロープウェイの記載が消滅しているため、廃止は同年と考えられる(休止の場合は備考欄に休止中と追記されて記載自体は残る)。