失われたロープウェイ
廃止索道

  

湯原温泉は、全国露天風呂番付で西の横綱に選ばれた「砂湯」で有名な、岡山県の山間部にある温泉地。温泉街の近くには中国地方最大のダムである湯原ダムと、ダムによってできた人造湖の湯原湖があります。

湯原温泉ロープウェイは、温泉街の山麓駅から湯原湖近くの霞ヶ丘までの1120m片道約7分で結んでいた1975年開業の索道。

ちなみに観光ロープウェイの場合、1000mを越す路線はかなり長い部類に入ります。

山麓駅は温泉街近くの坂を少し上ったところにあるため、山頂駅から温泉街を見下ろすと高低差以上の高度を感じ、現役時代はかなり眺めの良いロープウェイだったと思われます。

 

山頂駅があった湯原湖畔の県立霞ヶ丘公園付近は、現在キャンプ場や自然散策道といったアウトドア系の自然公園として整備されていますが、地元の方の話によると、かつて湖には遊覧船が運航し、山頂駅の近くには観光客向けの展望公園があったそうです。

なお、遊覧船は県道から湖にアクセスするために作ったトンネルが狭く、大型観光バスが湖畔に乗り入れることが出来ないことがネックとなり、廃止されたということです。

同索道の開業した1975年頃は既に昭和の観光ロープウェイ架設ブームは完全に去っており、あまつさえ廃止される路線も出ていた時期で、まさに昭和期最後の温泉ロープウェイと言えるでしょう。運行期間は短く、1981年には休止しています。



【訪問記】 2007年5月

温泉街の傍の河原からダムサイト方向
を見ると山の中腹あたりに、緑に埋もれた支柱と、山頂駅舎跡が目に入ります。山頂駅舎跡は、ダムサイト近くの半島状の丘の上にあり、建物は蔓植物に覆われ不気味な雰囲気です(右の写真)。


 

付近には展望公園の跡と思われる広場があり、池の跡(花壇?)らしき構造物や、コイン式望遠鏡の残骸などが残っていました。

温泉街の外れの鬱蒼とした木立の中の山麓駅駅舎跡(下の写真)は3階建ての大きな建物で、営業時は2階部分がレストランだったようです。

現在、建物は激しい湿気のために荒廃しており、天井には穴が開いて大変危険です。入口の発券所には水びたしの書類や大量のゴミと一緒に、華やかにおこなわれたと思われるロープウェイ落成イベント時の写真が無残にも放置されていました。


 

案内板によると郷土資料館があるようなので訪ねてみると、既に閉鎖されていて、傍らには同資料館の落成を讃える記念碑が荒れ果てた状態で建っていました。


索道の開業時期や遊覧船の廃止の理由などからも、町は事業の採算性や拡張性、維持管理などにはあまりこだわらずに、夢のある新しい企画を次々と立て、その完成を祝うことが好きなようです。

雑然とした印象の温泉街とは対照的に、砂湯付近は開放的な雰囲気で、この日も多くの入浴客とそのギャラリー(笑)で賑わっていました。私も「砂湯」に入ってみましたが、ダムサイト方向から吹いてくる爽やかな風が心地良く、泉質・湯量ともに、まさに「西の横綱」にふさわしいものでした。


*管理人から

このページは2008年6月の公開から、あまりにも「廃墟系」のサイトからリンクされたり、資料的な部分を廃墟本などに無断引用されたので2010年に公開を停止し、noindexタグでGoogle検索にINDEXされないようにした。

このサイトは索道のサイトで、廃墟のサイトじゃないんだよ。


索道データ
名称 湯原温泉ロープウェイ
事業者 湯原振興
所在地 岡山県真庭市
山頂駅名称 霞ヶ丘
山麓駅名称 湯原温泉
開業 1975年4月26日
廃止  
索道の方式 3線交走式
水平長 1120.20m
傾斜長 1131.57m
高低差 136.4m
支索の最急勾配 26.43°
支柱(基) 2
搬器の種類・数 箱型 2
搬器の名称 かじか/
最大乗車人数 41人
施工 安全索道
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