索道レポート

フランス ヴァルトランス ロープウェイ
フランスのスキー場とロープウェイ Cim de Caron Aerial Tramway
【キャロン・ロープウェイ】
 2012/3/24 フランス/バルトランス(トロワバレー)

今回訪れたのは、フランスのトロワバレー。志賀高原全山の約50倍の面積を持ち、ピステ部分だけで総滑走距離600kmという、世界最大級のスキーエリア。

「3つの谷」を意味するトロワバレー (Les 3 Vallees)には、ここを代表するスキーリゾートであるバルトランス(Val Thorens)と、W杯やオリンピックでアルペン/フリースタイル競技がおこなわれたメリベル(Meribel)のほか、クーシュベル(Courchevel)、レ・メニュエール(Les Menuires)など、全部で8つのスキー場があり、その間をスキーと索道で移動する。

トロワバレー バルトランス
トロワバレーから望むフレンチアルプスの山々。

滞在したバルトランスは、標高2300mの高地にあり、森林限界を超えているため、街には木が一本も無い。 

圧巻なのは、ここではスキーイン/アウトが基本なので、街の建物の「軒先」を複数のリフトが通っていること。街なかをゴンドラ(舟)が通るヴェネチア(イタリア)が水の都なら、街なかをゴンドラならぬリフトが通るバルトランスは「雪の都」といったところ。

バルトランス
軒先をリフトが通るバルトランスの街。

地理的にはスイスに近いこの地方では、古くから山スキーが盛んだったそうだが、国によるリゾート開発が行なわれてトロワバレーとして1枚の共通券で行き来ができるようになったのは1971年のこと。

現在トロワバレーに架かる索道は全部で200基以上、ロープウェイ・フニテル・ゴンドラ・リフト・Tバー/Jバー・ムービングベルトが駆使されている。

ツェルマットやシャモニーといった欧州の古典的なスキーリゾートと比べると比較的最近開発されたところだけに、各ゲレンデやそれを結ぶ索道は非常に機能的に配置されていて、長時間漕いだり、板を担ぐことはほぼ無い。

他のスノーエリアへの移動には何度も索道を利用することになる訳だが、2連・3連フニテル、6人乗り・8人乗りデタッチャブルリフトなど国内では目にする機会が少ない(無い)索道のオンパレード。


バルトランスの3連フニテル 
3連フニテル。

バルトランスには標高3200mのフレンチアルプスの高峰、シム・キャロン(Cim Caron)の頂上までスキーヤー・スノーボーダーを運ぶ、151人乗りの交走式のロープウェイがある。

ここの山頂駅の標高は3161m。山頂からはモンブランが見え、キャロン自体の標高も、日本では富士山に次ぐ高さの山梨県・南アルプスの北岳(3193m)を上回っているため、ここからのダウンヒルは実に爽快。

今回利用したのは2010年に交換されたばかりの新造搬器。スイスの車輌メーカー、ガングロフ社製のこの最新鋭搬器はキャビン内が3つの区画に仕切られ、両側の扉が同時に開くことにより、乗客が効率良く乗降出来るように設計されている。

雪の重みとアルプスの強風に耐えられるように造られたフレームは強化軽量アルミ製、ボディは総アクリルガラス製のため剛性と展望に優れ、同社の工業デザイナーチームによる、メタリック・グレイとメタリック・レッドの搬器のデザインもヨーロッパらしくスマートで洗練されたもの。

ヴァルトランス シム・キャロン ロープウェイ 
シム・キャロンロープウェイ(バルトランス)

それにしても、ここは本当に広い。トロワバレーのゲレンデマップはA3用紙の2倍くらいあるため、マップがわりに使えるトロワバレーとBMW社の共同開発による専用のiphoneアプリ(現在地・滑走距離・目的地へのナビ機能・パトロールの緊急呼び出し機能付:現地で無料ダウンロードできる)が有るほど。

また、今回一番驚いたのは、これだけ広大なスキーエリアでありながら、どこへ行ってもかなり人が多く、人があまり行きそうもない氷河の上の方などのリフトでも「リフト待ち」があったこと。人気のピステなどでは30分待ちなんて当たり前。ヨーロッパのスキー・スノーボードの浸透度は「ブーム」とか、そんな次元ではないことを実感した。

バルトランスの公式紹介ビデオ


− 索道が3方向に発着するゴンドラ駅 −

トロワバレーのクーシュベルは、バルトランスからスキーと索道で片道約2時間のところにあるスキーリゾート。

クーシュベルは山あいの小さな町だが、ヨーロッパ中のお金持ちが集まるスキーリゾートとして有名。彼らは自家用機で来るため、町にはなんと自家用機専用の空港がある。

ヴァルトランスから2時間のクーシュベルの町
山あいの静かな町、クーシュベル。

ここにはゴンドラ2本、高速リフト一基が3方向に発着する索道駅があり、放射状にホームが延びる駅舎が目を引く。

クーシュベルとバルトランスの往復には4時間かかるのでバルトランスを朝イチで出てもクーシュベルに居られるのは2時間半程度。

この駅で索道の乗り場を間違えたり、町に長居し過ぎたりすると帰りのコースやリフトがクローズして宿に戻れなくなるので、ホームで思わず行き先と時刻を「指差確認」してしまった(笑)。

クーシュベルのロープウェイ駅索道が3方向に発着するクーシュベルのゴンドラ駅。


索道データ
名称 Cim de Caron Aerial Tramway
索道の方式 ATW(1Propulslon/3Support)
ゴンドラタイプ Gangloff Cabin2
開業 1982年
水平長 1,600m
傾斜長 1,850m
高低差 850m
山頂駅標高 3,161m
山麓駅標高 2,311m
支柱(基) 1
速度(毎秒) 12m
搬器 2
最大乗車人数 151人
最大輸送(毎時) 1700人
施工 Poma
アイコン/素材



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