ジョリートロリー特集 失われたロープウェイ
ジョリートロリー
とくべつきかく 東京ディスニーランド・スカイウェイ
  
ジョリートロリーとスカイウェイCopyright Disney

今回はかつてTDR(L)内で運行していたロープウェイ、東京ディズニーランド・スカイウェイ。

このサイトでは遊園地やテーマパークの索道は範囲外なんですが、サイト開設以来スカイウェイのリクエストが多いため特別に特集します。また鉄道ファンにも評価の高いトゥーンタウンのジョリートロリーも併せてご紹介。


トゥーンタウンのスカイウェイとジョリートロリー



パーク自体がテーマを持った巨大な舞台(ステージ)であり、そこを訪れる来園者はゲスト、それを迎える従業員はキャスト。

まるで壮大なショーに参加しているような気分にさせる日本最高峰のエンターテイメントテーマパーク、東京ディズニーリゾート(以下TDR)。

TDRの中核である東京ディズニーランド(以下TDL)は天才ウォルト・ディズニーが1955年に米国カリフォルニア州アナハイムにディズニーランドを誕生させたのち、1971年にフロリダ州にオープンしたマジック・キングダムに次ぐ、世界で3番目に開園した公式ディズニーランド。

ウォルトは日常から完全に切り離された「夢と魔法と冒険の世界」を演出するための徹底したパークのコンセプト設計と、それを具現化するためのハード・ソフト・組織造りにこだわりました。また将来的にディズニーランドが世界中に展開しても、ゲストがどこを訪れても同じ感動が得られるように、提供する環境と品質の統一に努めたといいます。

アリスのティーパーティ(移転前)とスカイウェイ


東京ディズニーランド・スカイウェイは1983年のTDLグランドオープンから運行を開始した、パーク内移動用とアトラクションを兼ねた4人乗りのゴンドラリフト。

スカイウェイはTDLだけに存在したアトラクションではなく、当時すでにアナハイムのディズニーランドとマジック・キングダムで稼動*注1していました。

そこでTDLにスカイウェイを建設する際には前述のコンセプトのもと、先行するディズニーランドのスカイウェイと以下の通り同じ仕様となりました。

・運行区間:トゥモローランド・ファンタジーランド間
・基本設計:WDI(Walt Disney Imagineering)
・搬器:4人乗りデタッチャブル
・搬器のカラーリング:赤・青・黄・グリーン・オレンジ

なお、索道のキロ程はTDLのスカイウェイのみ他のスカイウェイより約100m短い仕様となっています。



下のマップは1983年のTDLグランドオープン時のもので、スカイウェイは右中のスペース・マウンテンの建物内のトゥモローランド駅と、右上のイッツ・ア・スモールワールド(スカイウェイと同じ日通がスポンサー)に隣接したファンタジーランド駅を結んでいます。

パークにはまだ、ビッグサンダー・マウンテンやスター・ツアーズなどの老舗の人気アトラクションさえ無く、クリッターカントリー、トゥーンタウンはテーマランド自体がありません。スペースマウンテンからモンスターズ・インク“ライド&ゴーシーク!"(旧・ミート・ザ・ワールド)まではなんと「空き地」。

*マップにマウスオーバーで現在のTDLのマップに替わります。

ジョリートロリー運行前の1983年のマップ
ゲストと夢を運んだスカイウェイは1998年に運行を終了しましたが、パークはその後も成長を続け、2001年にはTDLの南側の東京湾に面するエリアに、日本オリジナルのディズニーキャラクター*注2であるダッフィーをメインキャラクターとする快適で洗練されたテーマパーク、東京ディズニーシー(以下TDS)がグランドオープン。昨年度(2014年度)にはTDR全体で過去最高の来場者数3177万7千人(公称)を記録しました。

− Disneyland will never be completed −ディズニーランドは永遠に完成しない−というウォルトの言葉通り、OLC(オリエンタルランド)は2023年までに約5000億円を投じてTDRの大拡張*注3をおこなうことを発表。

その主な内容は、TDLのファンタジーランドの面積を約2倍にし、TDSの海側をさらに拡張して新エリアを造ることに加えて、国内の人口減少を見据えて未就学児や中高年向けに施設やサービスを充実させた「3世代型テーマパーク」を目指すというもの。

これはウォルトが願った「ディズニーランドが、あらゆる世代の人々がともに楽しい想い出がつくれる場所になること。」に合致し、ウォルトが創った「夢と魔法の王国」は、彼自身の願いもまた、叶えつつあるようです。


【参考資料】

Walt Disney: An American Original Bob Thomas 1994
Building a Company Bob Thomas 1996
海を越える想像力 加賀美俊夫 2003
Map Of The Stars - TOONTOWN 東京ディズニーランド 1996


【訪問記】 2015年7月

TDRに来るのは2001年のTDSのグランドオープン以来。

TDLの方は80年代後半から90年代半ばにかけて相当(20回以上)行ったと思いますが、スカイウェイが運行していたトゥモローランド・ファンタジーランド間は距離も短く、混雑時の乗車はそれなりに並ぶことになるので大体いつも歩いていたような気が。また舞浜は海風が強い日があって「よく止まっていた」という印象です。

スカイウェイはTDLのアトラクションとしては地味な存在でしたが、年間輸送実績は300万人。

これは国内の普通索道ではダントツの数字で、この記録が破られることはこれからも無いと思われます。

米ウォルトディズニー社直営のアナハイムの本家ディズニーランドのスカイウェイの運行終了から5年以内に、世界に3つあったスカイウェイは全てクローズ。

TDLのスカイウェイの運行終了は国内の普通索道の廃止理由に多い設備の老朽化やランニングコストを含む運用面での事情というより、OLCが5年越しの交渉により莫大なロイヤルティーを支払って45年間の使用権利を獲得した「公式ディズニーリゾート」の権利者である米ウォルトディズニー社の意向と考えるのが自然でしょう。

現在、開園予定を含めて世界に7箇所ある公式ディズニーリゾートにスカイウェイはありません*注4


スカイウェイ ジョリートロリー
スペースマウンテンと隣接していたトゥモローランド駅の現在。

ゴンドラのトゥモローランド駅は現在建物の一部がトゥモローランドホールと喫煙ルームになっていますが、索道施設は完全に撤去されていて、ここだと言われてもピンとこないレベルです。上の写真のブルーとオレンジのラインが入った建物がトゥモローランドホール。

もう一方のファンタジーランド駅は、プーさんのハニーハントの向かいにある「くまのプーさん」のキャラクターグッズショップ「プーさんコーナー」がある辺りだったんですが、もはや影も形もありません。手前の三角屋根の建物がプーさんコーナー(旧・プーさんの家)。

ディズニーランド スカイウェイ
ファンタジーランド駅跡地のプーさんコーナー。



ジョリートロリー(トゥーンタウン)   

以上でスカイウェイの廃線跡レポートは終わりです・・。

しかし、ひさびさの遺構残存率0%なので、終了アトラクションつながりということで1996年4月のトゥーンタウン大公開から2009年4月までの13年間、同テーマランド内で稼動していた路面電車のアトラクション「ジョリートロリー」の廃線跡を紹介します。

ジョリートロリー
運行中のジョリートロリー(2001年撮影)

ジョリートロリーはループサーキットの単線路面電車*注5

ダウンタウンとミッキーアベニューの間をコミカルな動きで走る2台の車輌を眺めているだけでも楽しいアトラクションでした。

人気もあり、トゥーンタウンを象徴するアトラクションだったので、2003年の暮れに「聖地」アナハイムのジョリートロリー*注5のクローズのニュースを聞いた時は、驚きと同時に「こうなるとTDLのジョリートロリーもスカイウェイと同様に遅かれ早かれ終了だな。」と感じた記憶があります。

ジョリートロリー運行中のトゥーンタウンのMAP
ジョリートロリー運行当時のトゥーンタウンのマップ (1997)
出典:ミッキーのぼくはうんてんしゅ 講談社/セガトイズ


*マップをクリックで拡大表示されます。戻るときはブラウザのバックボタンで戻って下さい。

ロジャーの噴水前とミッキーの噴水前にあったジョリートロリーの停留所の標識柱は片付けられましたが、軌道跡と「トロリーステーション*注6」は、現在もモニュメント的に残されているので、ある意味「日本一たくさんの人が訪れる廃線跡(?)」。

ジョリートロリーの軌道跡
ジョリートロリーの軌道跡とトロリーステーション

ジョリートロリーの車輌は運行終了後しばらく姿を消していたそうですが、現在は車庫(トロリーバーン)の前に静態保存され、フォトスポットになっています。今でもあの車輌がまぢかで見られるのは嬉しいですね。


現在のジョリートロリー
保存展示されフォトスポットになっている現在のジョリートロリーの車輌


リピート率が90%を超えるというTDRなので、おそらくこれを読んでいるみなさんの中にもTDRに想い出がある人が多いと思います。本編で触れたTDR大拡張計画に先行して、2019年までにアナ雪の新アトラクションも始まる予定とか。これは要チェックかもしれませんね。



ジョリートロリーとスカイウェイのデータ
名称 東京ディズニーランドスカイウェイ
事業者 潟Iリエンタルランド
施設提供 日本通運
所在地 千葉県浦安市
山頂駅名称 ファンタジーランド
山麓駅名称 トゥモローランド
開業 1983年4月15日 
廃止 1998年11月3日(運行終了) 
索道の方式 単線自動循環式
水平長 266.37m
傾斜長 268.37m
高低差 0.77m
支索の最急勾配 15.58°
支柱(基) 5
搬器の種類・数 42
搬器の名称 N/A
最大乗車人数 4人
施工 日本ケーブル

*注1 
- Disneyland(Anaheim)Skyway :
 運行開始:1956年6月23日 廃止:1994年11月9日 キロ程:370m

- Magic Kingdom Skyway :
 運行開始:1971年10月1日 廃止:1999年11月10日 キロ程:370m

*注2 
原型ともいうべき「ディズニーベア」は存在したが、ダッフィーとしての展開は日本オリジナル。TDSのメインキャラになったのは2005年から。

*注3
TDRの大拡張計画のソース:日経新聞電子版/2014年10月30日記事。

*注4
WDW(合衆国フロリダ州)では2019年秋からDisney Skyliner(ディズニー・スカイライナー)という10人乗りゴンドラリフトが運行予定。これはスカイウェイのようなパーク内の移動ではなく、パーク間の旅客輸送用でTDRのモノレール(ディズニーリゾートライナー)に近い存在。


*注4 ジョリートロリーの基本データ

名称 東京ディズニーランド・ジョリートロリー
運行期間 1996年4月15日 - 2009年4月14日

スペック 備 考
運行距離(片道) 145m ジョリートロリーは往復乗車不可
軌間 914mm アメリカン・ナローゲージ
平均速度 58m/分 時速 約3.48Km(歩行速度ぐらい)
動力 バッテリー ジョリートロリーは架線レスだが地表集電ではない
定員 8名 乗務員(キャスト)2名を含まない
乗車時間 2分30秒〜3分 混雑状況により、行き違い待ちが発生する場合がある

*注5
アナハイムのジョリートロリー(Disneyland(Anaheim) Jolly Trolley)
稼動期間は アナハイムのトゥーンタウンの公開(1993年1月)から2003年12月までの約11年間。乗務員は1車輌に1名で、TDLのようなキャストによる徒歩の先導は無し。ジョリートロリーに同型の8人乗りの客車を連結して二両編成で運行することもあった。

*注6 
トロリーステーションはトゥーンタウン公開時から「降りる人がいないので使われなくなった駅」という設定なので、貨客の乗降はおこなわず、ジョリートロリーの2台の車輌がここで行き違う停留所を模した休憩所だった。現在は軌道の隙間が塞がれているので車輌の走行は出来ない。


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やあ、ミッキーマウスだよ(苦笑)。

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