失われたロープウェイ

三ヶ根山ロープウェイ - 失われたロープウェイ
  
三ヶ根山ロープウェイは、三河湾国定公園の中心に位置するあじさいの名所・形原温泉と,「愛知の六甲山」こと三ヶ根山(さんがねさん:標高326m)の山頂を結んでいた1957年(昭和32年)開業の索道

開業当初は市営でしたが、1963年(昭和38年)に山頂に回転展望台*注1が完成し、運営が名鉄系に移ると索道は最盛期を迎えます。

しかし、昭和40年代に入ると、愛知県による三ヶ根山一帯を中心とした観光開発が始まり、1968年(昭和43年)に三ヶ根スカイラインが開通したことにより、ロープウェイは自動車との競合にさらされはじめ、昭和51年に正式に廃止されました。

索道の施工は業界のパイオニア「安索」こと安全索道梶B同社が手がけた同じ蒲郡市営の三谷温泉の索道と、搬器のカラーリングがちょうど逆です。



              当時の「山麓園」のパンフレット

山麓駅だった「山麓園」は敷地内に酒樽を利用した個室を多数配置し、その中でジンギスカン料理が食べられるお店で、現在も営業中です。なお、山麓園は昭和の時代に盛んにTVスポットを流していたそうで、地元ではかなり有名なお店のようです。



1971年発行の1/2.5万地形図。中央左に索道の記号が描かれている。


訪問記】 2007年9月

山麓駅舎は現在、藍染の展示販売所となっており、索道のチケット売り場だった建物は、改造されて「お花」という名前の喫茶店になっています。




山麓駅舎跡は藍染の展示販売所になった。

喫茶店のメニューにはお店の建物が、昔は発券所であったことが書かれていました。索道跡の訪問でこのようなケースに出会うのはかなり珍しいこと。因みにここのコーヒーはとても美味しかったです。

山麓園の駐車場の一隅には、搬器が残されていました。

状態はあまり良くないようですが、隣にはレトロな「オート三輪」が並べてあり、放置ではなく一応保存しているという感じでした。

山頂駅舎は既に取り壊されており、現在では駅舎のコンクリ土台のみが残っています(下の写真)。駅舎跡は三ヶ根スカイライン途中の展望所(駐車場?)から草深い小道を分け入ったところにあります。そこは三ヶ根山の登山道の途中にあたり、登山道の目印にもなっています。

私は今回はじめて蒲郡を訪れたのですが、東京から東名で3時間のところに、こんなに美しい海があることに驚きました。

もし、ここがもっと地方だったら、観光だけで充分成り立ちそうだし、実際にそういう文字通り「観光だけ」の地方の観光地をたくさん見て来ましたが、ここはそういう所と比べると色んな面で都会過ぎると感じました。

都会であるほど、環境の変化のスピードも速いわけで、蒲郡の2つの索道の開業は、全国的に見てもかなり早い時期であった反面、事業者による廃止の決断も早かったところに、それが現れているような気がします。


索道データ
名称
事業者 蒲郡市 → 三ヶ根観光梶@
所在地 愛知県幡豆郡
山頂駅名称 三ヶ根山頂
山麓駅名称 形原温泉
開業 1957年11月27日
廃止 1976年
索道の方式 3線交走式
水平長 475m
傾斜長 508m
高低差 175.5m
支索の最急勾配 28.43°
支柱(基) なし
搬器の種類・数 箱型 2
搬器の名称 さんがね/
最大乗車人数 21人
施工 安全索道

*注1 
三ヶ根山回転展望台:2001年閉鎖。バーチャル旅行体験サイトMovieumで 展望台営業時の動画を観ることが出来る。






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