スキーリゾート
索道について

 仙巌園(磯庭園)ロープウェイ

スキーリゾート


鹿児島県鹿児島市の仙巌園(磯庭園)*注1は、1660年(万治3年:江戸時代初期)に島津家19代当主・島津光久によって築庭された大名庭園。

桜島を築山に、錦江湾を池に見立てた(借景)雄大な景観は名勝として知られ、国内外から多くの観光客が訪れます。

また、最近では2008年のNHK大河ドラマ「篤姫」のロケ地としても話題になりました。

磯庭園ロープウェイは、園内の御殿近くの山麓駅と、御殿の背後にある磯山(標高:152m)の山頂駅を3分で結んでいた交走式の索道で、1959年(昭和34年)に運行を開始しました。

磯山の山頂にあった磯山遊園地(現・磯山公園)は、正面に桜島を望む絶景の地で、索道の運行当時は「トカラ馬」の公開や、小動物園・孔雀園・展望台・レストランなどの施設のほか、ゴーカート場や児童向け遊具なども常設されていました。


山頂駅(磯山遊園駅)から錦江湾の眺め。− 昭和40年頃の磯庭園案内書
       
ゴンドラからの錦江湾と桜島の眺望は抜群だったそうで、右の写真の通り、索道は延長を通してかなりの急傾斜だったようです。

この索道の営業キロ程は315mと短く、当時の案内マップ(下図)では、一見、園内移動用か遊戯物のような印象を受けます。しかし、山頂駅があった磯山遊園は島津興業の私有地である仙巌園の一部なので一般道で磯山にアプローチする場合、仙巌園の入口から実に7km近くの大回りが必要。

「山頂への直線距離によるアクセス」と「ゴンドラからの展望」という索道の特長が生かされた路線だったようです。





希代の絶景ゴンドラとして利用者にはリピーターも多く、足かけ33年もの間運行していましたが、1993年(平成5年)の「8.6水害」(*注2)の際、安全のため運休。そのまま再開されることなく廃止されました。


訪問記】 2010年8月


ここは鹿児島の薩摩湖と同じ日に訪問しました。


薩摩御膳(1900円)

あれ?いきなり料理の写真だ。
「失われたロープウェイ」は日記ブログじゃなかったはずでは・・・。


はい、結論から言うと磯庭園ロープウェイの
遺構残存率は0%です。

山麓駅(磯庭園駅)は、現在は別の建物に建て替えられていて、ここがその跡地に建っている園内レストラン「潮香亭」、というわけなのです。

仙巌園では、御殿の内部を和服美人が案内してくれます。

質疑応答形式の案内なので、ゴンドラのことも聞いてみたところ、廃止を惜しむお客さんは多かったそうですが、水害復旧後も索道が再開しなかった理由のひとつとして、運行当時からの課題だった庭園の景観の問題もあったそうです。

下の写真にマウスオーバーで運行時代の写真に切り替りますが、歴史のある重厚な御殿と索道施設の組み合わせは、絵的にはかなりミスマッチで、やはり現在の方が良い感じ。

現在、駅舎の跡地に建っている建物(左端の建物)は色調が御殿に合わせられているので、違和感がありません。



なお、山頂駅があった磯山公園一帯は、前述の通り私有地であり、現在は一般公開されていないため立ち入り禁止で、毎年お花見の期間のみ有料公開されるということです。


索道データ
名称 磯庭園ロープウェイ
事業者 島津興業
所在地 鹿児島県鹿児島市
山頂駅名称 磯山遊園(七社)
山麓駅名称 磯屋敷(磯庭園)
開業 1959年7月12日 
1999年12月 
索道の方式 3線交走式
水平長 282.539m
傾斜長 315.958m
高低差 133.5m
支索の最急勾配 34.39°
支柱(基) なし
搬器の種類・数 箱型 2 
搬器の名称  −
最大乗車人数 21人
施工 東京索道

*注1
現在の正式名称は「仙巌園」、索道の運行当時は「磯庭園」の呼称が一般的だった。

*注2
1993年8月6日、鹿児島市一帯で記録的豪雨による水害が発生し、大きな被害が出た。


TOP Page

索道の種類

最新索道レポート





このサイトについて

索道リンク













  もどる